観劇録-転校生
うん、悲愴な部分はなかった。
それが、きっと僕にとっては、なによりだ。
なんか事件が起こって、
それを解決したりすると
よりお話として楽しめたけど
そこまでお腹が、お話が、膨れる必要はない。
これはきっとそういう話じゃない。
一人増えてたその子が「モンスターとしての私」であるなら
それはきっと僕の中での幸せ、いや祈りとつながり、
かつ僕の抱いているモヤモヤが霧散するんだろうけど、
だろうけど、なんて言っている位には疑いを抱くわけです。
疑った時点で、どんな完璧なものも軋みだす――。
だから疑わない。
きっと僕の抱いた感想は正しい、そう、結末にふさわしい。
めでたしめでたし、だ。
今の時点でそういう解釈をしていよう。
健やかな気分です、軋まないよう願っている。
願った時点で、そうではない今に気づく――。
あるいは
やはり彼女の居場所は何処にもないのだろうか。